まず、多読は「たくさん読むこと」、そのためには「楽しく読むこと」が大前提だと学習者にしっかり理解させましょう。その上で、読み方を説明します。
わからない言葉がない、簡単だと感じるレベルから読むことで日本語を日本語のまま理解する感覚とスピードを体得するためのルールです。
辞書に頼っているとたくさんの文章を読めないし、内容を楽しめないので、辞書に頼らずに読めるようにするためのルールです。
母語で書いてある読みものを読むときには、ふつうに行っている読み方です。文法や言葉にこだわらないで、内容を楽しむようにさせるためのルールです。
先へ進めないというのは、内容に興味が持てないか、学習者の日本語レベルが読みもののレベルに達していないかの、どちらかです。どちらの理由にせよ、とまっている時間がもったいないので、途中でどんどんやめて違う本に移りましょう。楽しく大量に読むためのルールです。
学習者一人ひとりが、自分の好みにあった物を手に取れるように、やさしいレベルの読みものから、レベルの高いものまでを数段階用意します。各レベル、少なくとも20冊くらいの読みものが必要でしょう。アスク出版から出ている「よむよむ文庫」、多読研究会発行の読みもののほかに、市販の絵本・児童書・漫画なども用意するといいでしょう。
初級の学習者や、日本語を耳から覚えたものの活字になじみのない学習者は、朗読CDを聴きながら読んでもいいでしょう。学習者に応じてCDプレイヤーなども用意しましょう。
さて、いよいよ多読授業開始です。
一人ひとりが思い思いの本を手にとって、静かな読書の時間が始まります。
日本語学校のように授業数が多い場合は、できたら、週1回、1時間半か、2時間、多読の時間にあてられると効果的だと思います。
何を読んだかを記録させ、簡単な感想を書かせるのは、学習者の励みになると思いますが、「読書感想文」はやめましょう。書くのに時間がかかりすぎて、楽しくたくさん読むという基本理念から外れてしまうからです。
時には、学習者同士で、本の紹介などさせることは、モチベーションを高めることにもなるでしょう。
注意深く学習者の様子を見て、どのレベルのどんな本を手に取ったか、どんな様子で読んでいるかメモしておきます。次の授業のときに、どのレベルのどんなカテゴリの読みものを薦めるかの助けになるでしょう。
わからない言葉について質問されても、すぐには答えずに、「先を読んでみて」「絵を見て考えて」と、アドバイスします。読み方のルール③「わからないところは、とばして読む」を守らせるためです。
理解したかどうかのテストもしません。
学習者の様子を見て、つまらなそうにしていたり、先へ進まないようなら、その読みものを読むのをやめるよう勧めしょう。まじめな学習者ほど最後まで読もうと頑張ってしまう傾向があります。読み方のルール④「進まなくなったらやめる」を守らせることは案外難しいのです。
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